藤野はいろんな人がいるからそれぞれが出来ることを持ち寄れば、年を取っても助け合いながら楽しく暮らしていけそう

藤野はいろんな人がいるからそれぞれが出来ることを持ち寄れば、年を取っても助け合いながら楽しく暮らしていけそう

シュタイナー学園保護者 三谷浩さん・ゆかりさんご夫妻(後編)

三谷浩さん・ゆかりさんご夫妻
藤野の中でもひときわ山深い牧野地区の一角に佇む一軒家。ここは「スモールハウススタジオ」と名付けられた、フォトスタジオ兼ご自宅で、シュタイナー学園の保護者でもある三谷浩さん・ゆかりさんご夫妻と3人の息子さんが暮らしています。シュタイナー学園の記録写真の撮影も長年担当してくださっている浩さんと、人と人をつなぎ、人望あふれるゆかりさん。前編ではシュタイナー教育と出会ったきっかけ、シュタイナー教育をきっかけに変化した暮らしについて伺いました。後編では藤野に家を建て、新しい暮らしを築き始めたいきさつと、これからについて伺います。

お子さんの学園入学をきっかけに高尾に移住され、その後相模湖の一軒家に7年ほど暮らし、その後藤野で土地を探されたと聞きました。

シュタイナー学園の記録写真の撮影も長年担当してくださっている浩さん

ゆかりさん 藤野は都会の物差しでいうと確かに『不便』なところなんだけれど、子育てする上では本当に『楽』な場所。まわりに助け合える人達がたくさんいる、そんな場所で暮らせたらいいな、と思いました。シュタイナー学園は担任の先生も基本的には8年間変わらないし、クラスもずっと一緒。それだけ長く一緒にいると各家庭のバックグラウンドを知って、お互い助け合えるんです。助けてもらった恩返しは、その人に返すだけじゃなくて、別の誰かにまわす。そんな助け合いの循環が、お母さんだけじゃなくてお父さんも含めて、回っているような環境。そういう人たちが身近にたくさんいる暮らしっていいなあって。
浩さん 子どもが成長していく過程では、もちろん色々なことが起こるんですが、そのひとつひとつと向き合って、親同士も関わり合いながら、子どもと一緒に成長していくんだな、と学園での時間を通して改めて思いました。案外子どもはすぐに乗り越えるけど、親のほうがついていけない時もあるくらい(笑)。でもそんな時間があったからこそ、より周囲の人と信頼関係を築いてこられた。

そうして「スモールハウス」を建てられたのですね。

浩さん 周りに家がなくて、日当たりの良い土地が良かったのですが、藤野はわりと開けている土地がないんです。長い時間をかけて探して、この土地に出会いました。住宅用ではなかった土地を農地転用という形で、家を建てられることになりました。何かを得ようという時、何もかも全部を望むというのは無理がある。自分たちが望むのは、自然が身近にあって共生する暮らし。そして日々の中に芸術がある暮らしをしたいという思い。そんな思いもあり、この家は自宅兼小さなスタジオとして建てました。スタジオ撮影やワークショップをする場所として、人に向けて開けた場所になるように。この家に暮らすようになって、仕事と暮らしのバランスをより考えられるようになったと思います。
ゆかりさん 子どもたちも大きくなってきて、これからのことを考えた時に、楽しみだなって思えるんです。『いつか老人シェアハウス』とかやってみたいな〜とか。藤野はいろんな人がいるからそれぞれが出来ることを持ち寄れば、年を取っても助け合いながら楽しく暮らしていけそう。これからもまだまだ楽しみなこと、やってみたいことがたくさん思い浮かぶし、それが形にできるんじゃないかなって、そんなふうに思える場所なんですよね、藤野って。

人と人をつなぎ、人望あふれるゆかりさん

子どもたちの教育を最優先に、と暮らしのかたちを変えることでご両親である三谷さんご夫妻の暮らしもより望む方に、力を抜いて楽しめる方に、と変化していく姿が印象的でした。子どもの教育を通して出会った人たちと、子どもたちがやがて巣立った後も続いていくようなコミュニティを築けたことが、先の未来の楽しみや夢にまでつながっていく、そんな三谷ご夫妻のお話でした。


ライター:中村暁野