やりたいことを見極め、そこに進んでいけるかということが大事だと思う

やりたいことを見極め、そこに進んでいけるかということが大事だと思う

第19期生 坂本新太さん(後篇)

坂本新太さん
シュタイナー学園第19期生の坂本新太さんのお話後編です。前半では体験を通した学びを楽しんでいたシュタイナー学園での時間を経て、都立国立高校へと進学を決めるまでを伺いました。高校生活、そして現在の大学生活を通して改めて感じるシュタイナー教育について伺います。

迷いながらも決められた高校生活はどのようなものだったのでしょうか?

進学した都立国立高校は、それぞれがやりたいことをやりたいだけできるような学校でした。日本史などは新しいことを学べるということが純粋に楽しかったので、授業もそれはそれで面白いところもありましたが、ただやはり、1年生のときの国語は面白くなかったです。まあ、シュタイナー学園での不二先生の授業と比べてしまったら当たり前ですが。部活や行事などやりたいことを思い切りやりながら、本も好きでずっと読んでいました。あとは半年に一回くらい、シュタイナー学園にも顔を出していたんです。最初は学園祭に行ってみたらみんな温かく迎えてくれて。それ以来、劇の発表とかあるたびなんだかんだとシュタイナー学園に行って、繋がっていました。

充実した高校生活の後、東京大学に進むことを選ばれましたね?

文学について学びたいと思い、受験するなら国立大学では東大しかないな、と。東大の入試の解答用紙はマスがあるだけで、全部記述式なんです。その試験方法も自分には合っていました。センター試験のように記号を選択してマークシートを埋めるような勉強は、していてもつまらない。大学受験を通して、点数で判断されていく教育のしんどさを初めて感じたところがありました。点数だけで自分自身を判断されたり、競い合ったり、子ども時代からこんなふうに自分に点数をつけられるのか、と思うと今の教育のあり方には違和感を感じました。

大学に入られてみて、いかがですか?

楽しい、これを続けたい、と思ったことが大学にあって進学したので、やっぱり学ぶのがとても楽しいです。やりたいことが自分は『たまたま』大学にあったから大学に進学したという話だと思っています。行った先で自分がなにがしたいのかボヤけてしまったら、それはどうなんだろうと思うんです。やりたいことを見極め、そこに進んでいけるかということが大事だと思うので、やりたいことを反映させた大学生活にしたいし、その先も自分のやりたいことを出来る未来にしたい。そういう意味でも、大学院には進みたいと思っています。

自分は何がやりたいのか、ということがわからなくなってしまう人はきっと多いと思います。

シュタイナー学園の友達は、そこがわかっている人が多いと感じます。音楽をやりたいとか、自分で工房を作ってものづくりをしたいとか。勉強したい、というのはそういったことと同じです。だから、〇〇大学に行っている、なんてことをクローズアップすることに意味はないと思います。東大の多くの人は都市部の中高一貫校から進学してきていて、小学校3年生くらいの時から塾に通って勉強漬けの生活をしてきている。僕は小3の時は米を作っていたし、小4の時は家を作っていました。他にもろうそくを作ったり、ジャグリングをしたり、オイリュトミーもそうですけど、普通は体験しないようなことをいっぱい体験して、体験に基づいた学びをしていました。そんな教科書に書いてあることを読んで理解するだけじゃない学びって、重要だと思っています。先日、シュタイナー学園の高等部学園祭に来た時、ある先生が僕に『東大に通っているんだって。よかったわねえ、あなた勉強好きだったもんね』と声をかけてくれたんです。それがすごく嬉しかった。そう、僕は勉強が好きだから東大に行った。すごく当たり前のことなんですけれど、そういう感覚があるこの学校やこの学校の先生方は素晴らしいと思います。

学ぶことが楽しい、と何度も繰り返す坂本さんの言葉が印象的でした。そして大学とは、学びたいことを追求するために行く場所なんだ、という当たり前のことを改めて感じさせてくれました。自分の中に何かを見つけ、選び、進んで行く。「好き」や「面白い」から始まり、築き続けていく学びは義務にも負担にもならず、その人を豊かに、幸せにしてくれるものなんだと思いました。それはきっと、これからの坂本さんの未来を切り拓いていくのだと思います。


ライター:中村暁野