〝人を信じられる〟という基盤があったから大変なことも乗り越えられた

〝人を信じられる〟という基盤があったから大変なことも乗り越えられた

17期卒業生 佐々木礼さん(後篇)

佐々木礼さん
学園第17期卒業生の佐々木礼さん。前編ではのびのびと過ごした幼少期、シュタイナー学園の学びを通し、看護師という道を志すまでのお話を聞きました。後編では目標を胸に入学した看護学校時代から、現在までのお話を伺います。

 

卒業後、国立病院機構横浜医療センター附属の看護学校に入学されたと聞きました。

陸軍時代からある歴史のある学校で、規則や規律に重きが置かれていました。シュタイナー学園では良いところを見て伸ばしてくれる環境にいたので、他の人から外れているところを見て指摘されるような環境は、最初はギャップがありましたし、ショックも少なからずありました。勉強も最初は試験でいい点を取るための勉強をしてきていなかった分、要領がわからず教科書やノートを端から端まで読み込んですごい時間がかかったり。でもそのうち要領がつかめてきて、卒業時は答辞を読ませてもらえるくらい良い成績をとることができました。

努力されたんですね。

もともと負けず嫌いなのと、シュタイナー学園から推薦枠で看護学校に行ったので、まわりの人のシュタイナー教育への印象は自分次第で決まるという気持ちがあって。いい成績をとれるようになるとわたし自身のことも評価してもらえるように感じましたが、点数でその人を見るのではなく、もっと人と人として付き合えたらな、と思うことはありました。そんな中でも信頼関係を築けた先生もいました。その先生に今勤めている病院を紹介してもらい、卒業後、すぐに勤めだしました。

今、1年目だとお聞きしましたが、働かれてみてどうですか?

小児科に希望を出していたのですが、循環器内科という心臓などの、命に直結している科に配属されました。日勤、準夜勤、夜勤と勤務体制が変動するので生活リズムを整えることが難しいですし、人数も足りておらず、苦労して資格をとって看護師になっても3〜4年で辞めてしまう人が多いのも理解できると思いました。安定した仕事だから、という気持ちで入る方もいますが、それだけでは頑張れない。自分の中のビジョンや目標が必要な仕事だと思います。看護師は5年で一人前と言われるので、今は何があっても頑張る時、と思ってやっています。

礼さんには先の目標があるのでしょうか?

いずれは養護教育に関わりたいという気持ちがあります。大学に入り直して勉強をまた出来たらとも思うのですが、そのためにも、まず今は看護師として一人前になりたいです。

礼さんがシュタイナー教育を通して得たものとは何でしょうか?

人を信じられる、という絶対的な感覚でしょうか。先生も保護者の方々も、大人たちは自分を思ってくれていると感じられたことや、どんな立場でも人は対等な関係なんだ、と思えるような経験や環境。それがわたしの基盤になっています。その基盤があったから、学校の外に出て理不尽なことを感じても頑張ることができたと思っています。今でも学園の同級生たちとは定期的に会っています。いつ会っても、何も話さなくても、心から安心できる『帰る場所』のような存在です。そんな人たちに出会えたことはほんとうに幸せなことだと思っています。

人を信じられるという基盤があったから大変なことも乗り越えられた、という言葉がとても印象に残った礼さんのお話でした。『負けず嫌いだから』という礼さん。強さだけじゃないしなやかさや柔軟さも持ち合わせた礼さんのこれからを、心から応援したいと思います。


ライター:中村暁野