自分はこういう場所でこんな暮らしがしたい、と明確に何かを決めて選んでいく

自分はこういう場所でこんな暮らしがしたい、と明確に何かを決めて選んでいく

シュタイナー学園保護者 柳田啓之さん・真樹子さんご夫妻(後編)

柳田啓之さん・真樹子さんご夫妻
学園4年生と2年生のお子さんの保護者である柳田啓之さん、真樹子さんご夫妻のインタビュー後編をお届けします。都会に住み夫婦フルタイムで共働きをしていたという生活から一変、シュタイナー学園から徒歩5分ほどの場所に建てた自然住宅の一軒家で新しい暮らしを始めた柳田さんご夫妻。そんな「暮らし」から、新しく生まれたプロジェクトや思いについてお聞きしました。

 

何かを始めようとする時に後押ししてくれる人が多い。そんな後押しもあって、わたし自身も新しいプロジェクトをはじめることにしたんです

 

藤野での暮らしで変わったと思うことはありますか?

啓之さん 僕がやりたかった田舎暮らしというのは、ただ自然が豊かな場所に住みたいということじゃなくて、自分たちの力や地域の力で生きていく生活をしてみたいと思っていました。今、地元の人に木をもらってまきストーブ用のまきを家族で割ったり、庭で野菜や果物を育てたり、お米も田んぼを借りて作ったりしていると、思い描いていたことを一つずつ実現できているのかな、と思います。

真樹子さん 私は虫が大嫌いだったんだけど、ここに暮らして3年で、ちょっとだけ耐性が上がって(笑)、同じように苦手だった子どもたちは私よりもへっちゃらになって、今では虫が出たら私にかわって対応してくれるようになりました(笑)それと、藤野は地域のコミュニティーがとても豊かで、面白いことをしている人がたくさんいるんですよね。そういう人たちに出会って、自分もこんなことを始めてみようかな、と思ったことを話したりするとみんながすごく応援してくれるんです。何かを始めようとする時に後押ししてくれる人が多い。そんな後押しもあって、わたし自身も新しいプロジェクトをはじめることにしたんです。

人とのつながりの中で始まっていくプロジェクトも多いんですね。

真樹子さん まず始めたのが、以前の仕事の経験をもとにした自宅での小さな教室。周りの方に、やってみようと思うんだけど…と声をかけたらすぐに実現が可能になって。参加してくれる皆さんが喜んでくれるので、私の生活に張りが出ています。もうひとつ進めているプロジェクトは、今夫が仕事を通して出会ったタンザニアの有機カカオ豆を使って自然エネルギーで作る藤野産ローカルチョコレート工房の立ち上げ。他にタンザニア産のドライフルーツも、地元のデザイナーさん、地域の商工会やお店と関わりながら一緒に形にしたり地域のお店に置いてもらったり。これは藤野だからできることだなと思っています。自分はこういう場所でこんな暮らしがしたい、と明確に何かを決めて選んでいく。そんな積極的選択をするほうが、暮らしって面白くなるんじゃないかなって思っていたので。

啓之さん 藤野に暮らしていて思うのは、ここには積極的選択をしている人が多いということ。会社まで乗り換えなしで何分で行けて、近くにはいくつか店があってそこそこ便利で、土地代や家賃がこの値段だったらまあ悪くないかな、というような消極的選択で住む場所や暮らし方を決めちゃうのって、もったいないと思うんです。自分はこういう場所でこんな暮らしがしたい、と明確に何かを決めて選んでいく。そんな積極的選択をするほうが、暮らしって面白くなるんじゃないかなって思っていたので。ここでそんな思い思いの「暮らし方」に出会えるのはとても楽しいし、自分たちもこれからも、一つ一つを決めて選んで、暮らしを築いていきたいですね。

描いた「暮らし」を始め、そしてそこからまた新しい何かを見つけたり始めていく。一つ一つを自ら決め選び、一つ一つを形にしていくからこそ描く「暮らし」は築かれていく。それは生きていく力のようなものかもしれないな、と感じた柳田さんご夫妻のお話でした。新しいプロジェクトも楽しみです。どうもありがとうございました。


ライター:中村暁野