音楽は自分にとってずっと大事で、シュタイナー教育と同じぐらい音楽という柱が自分の軸になっています

音楽は自分にとってずっと大事で、シュタイナー教育と同じぐらい音楽という柱が自分の軸になっています

14期卒業生 北川璃奈さん(後編)

北川璃奈さん 
各国を転々としながらさまざまな教育を受けてきた北川璃奈さんのインタビュー後編をお送りします。前編では南アフリカ、日本、フランス、シンガポールで受けた教育のお話を伺いました。後編では、大学と大学院で学んでいる音楽学、日本人として大切に思っていることについてお話を伺います。

 

音楽に関する知識だけでなく、実技も大切にしていきたいと思っています

 

今はフランスの大学院に在籍しているのですね?

2016年の秋よりフランスのストラスブールという街で音楽学の修士課程をしています。2018年の春より、修士課程最後の学期をドイツ、ベルリンでやっています。現在は修士論文を執筆中ですが、フランスとドイツ両方の大学に提出をして、この秋に修了予定です。音楽学の存在は日本では広く知られていないかもしれないですが、その名の通り、音楽についての学問です。内容は、音楽史、音楽理論、楽曲分析についての研究。更には、音楽社会学、音楽民族学、音楽療法などのテーマもあり、幅広いです。

研究することだけでなく、実技もしている?

南アフリカにいた5歳の頃よりずっとヴァイオリンを弾いています。幼少期よりヴァイオリン中心の生活を送ってきましたが、高校でも大学でも音楽の実技に専念する決心がつかず、学問の道に進みました。結局、今もヴァイオリンを弾くことは私にとってどこの国にいても一番大切なことで、今後はもっと弾くことに時間を使っていきたいと思っています。楽器を弾かずに音楽の話をしているだけだともどかしく感じることが多く、今後は、音楽に関する知識と実技の両方を大切にしていきたいと思っています。

大学院ではどんなことを研究していますか?

大学院ではホロコーストと音楽について研究しています。具体的には、第二次世界大戦中、ナチス政権下の強制収容所にて行われていた音楽活動についてです。音楽と言っても楽しい話では全くなく、ユダヤ人を始めとする当時ナチス政権によって迫害されていた人々が、追いやられていた強制収容所やゲットー内でオーケストラや楽団を作り、強制的に音楽をやらされていた事について研究をしています。そこでの音楽は、囚人たちにとって精神的な逃げ場となると同時に暴力的でもありました。人が人を大量に殺し、囚人たちは全く人間らしい扱いを受けることもない極限状態の中、音楽や芸術が存在していたということ、そしてそこでの音楽が一体どのような意味を持ち、どのような影響力を持っていたのかということを研究しています。

璃奈さんにとって、日本とは?

日本は自分にとって大切ないくつかの国の内の一つです。日本が島国だということもありますが、価値観の違いなどから日本にいると窮屈と感じてしまうことはよくあります。ただ最近思うのは、日本には日本古来の美しい文化があって、自分も今後もっとそれらを知って大切にしていけたらということです。日本を離れると日本を客観的に見る機会が増え、日本の美しい文化に気づかされます。特に現在海外で若い世代に知られている日本は、漫画やアニメを始めとしたいわゆるポップカルチャーと呼ばれるもので、そのような新しいものだけではなく、他にもっと古くから日本に存在するものがあることを彼らに伝えていけるようにならなければと思います。いくつかの国でシュタイナー教育を受けてきたことは、自分が日本人であるということ以上に、(音楽と同様に、)自分の中では大きな軸となっています。最後にシュタイナー学校に通っていたのはもう10年以上も前ですが、今もいつでも戻れる場所があるというのはとても心強いことです。

国際的な視点でシュタイナー教育と公的教育を受けてきた北川璃奈さんの今後の進路を応援したいです。北川璃奈さん、ありがとうございました。


ライター:越野美樹